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AI-OCRとは?次世代のOCRと活用事例

更新日:9月13日

 



1次世代のOCR、AI-OCRとは?


AI-OCR

スキャンした電子書類を検索可能なテキストデータに変換する技術はOCRといい、様々な方面で活用されていました。技術の進歩により、AIを活用したAI-OCRが登場することで活用場面が大きく広がりました。この記事ではAI-OCRとは何かをご説明します。



1-1 AI-OCRとは?その基本概念と仕組み


AI-OCRは従来のOCRをAIで進化させた技術で、文字をより正確に読み取り、業務効率化を実現します。従来のOCRでは非定型の書類や手書き文字への対応が非常に困難でしたが、AI-OCRはディープラーニングを活用して文字の形や背景を学習するため、様々な形式の書類・文字を読取れます。


1-2 AI-OCRと従来のOCRとの決定的な違い


従来のOCRと比べ、AI-OCRは認識精度と柔軟性で大きく優れています。従来OCRは定型フォーマットの帳票に強い一方、フォーマットが少しでも変わると誤認識が増える弱点がありましたが、AI-OCRは非定型フォーマットや手書き文字にも対応可能です。


AI-OCRを使うことで、レイアウトが異なる納品書や申込書も自動で位置を判別し、必要なデータを抽出できます。AI-OCRが従来OCRの限界を超え、実務で活用しやすい技術だと分かります。


1-3 AI-OCRが注目される背景(DX・働き方改革・法改正など)

 

社会全体で業務効率化とデジタル化のニーズが高まるにつれ、AI-OCRが注目されるようになりました。DX推進や働き方改革、さらに電子帳簿保存法やインボイス制度といった法改正が企業に「紙のデータを効率的に扱う仕組み」を求めているからです。


一例として、電子帳簿保存法に対応するために、企業が請求書や領収書を電子データで管理しなければならない場面が増えています。


AI-OCRを導入すると、スキャンした書類を効率的にテキスト化し、システムに自動登録できます。法制度や働き方の変化がAI-OCRの普及を加速させており、今後も導入の必要性は高まると言えるでしょう。



2. AI-OCRとは何かを理解するための導入メリット


システム導入検討

AI-OCRをより深く理解するには、具体的にAI-OCRにはそのような機能があり、導入することでどのようなメリットをご説明するのが早いと思います。以下をご参考ください。


2-1 高い文字認識率で手入力作業を大幅削減


AI-OCRを導入すると、これまで人が行っていた入力作業を大幅に削減できます。


例として、経理部門では、請求書や領収書を1件ずつ手入力していた業務があります。AI-OCRを導入すると、自動で金額や日付を読み取り、確認だけで済むようになります。入力時間が半分以下になった結果、残業の削減にもつながります。


2-2 RPAや基幹システムとの連携で業務全体を効率化


AI-OCRはRPAや基幹システムと組み合わせることで、業務全体の効率化を実現します。認識したデータをシステムに自動で流し込めば、入力から管理まで人が介在しなくても済むからです。


AI-OCRが請求書を読みとり、RPAが会計システムに入力する仕組みを作れば、担当者は最終確認だけで済みます。処理が自動化され、ヒューマンエラーが減り、全体の処理速度が向上します。このようなシステム連携によって、単独導入以上の効果を期待することができるのです。


2-3 コスト削減と人的リソースの有効活用


AI-OCRは結果的に人材の有効活用も実現します。単純作業を自動化できるため、企業は人材を戦略業務や顧客対応へシフトできるからです。


例えば総務担当者が毎月繰り返す入力作業をAI-OCRが処理することで、担当者は企画や改善業務に時間を使えるようになります。結果として会社全体の生産性が高まります。


2-4 学習機能による継続的な精度向上


AI-OCRの中には、使えば使うほど認識精度が高まるものもあり、誤認識を修正することで学習し、次回以降の読み取りに反映します。


初期導入では読み取りに時間がかかっていた請求書も、誤りを修正しながら運用を続けることで、数か月後には精度が向上し、ほとんど修正が不要になることもあります。しかし、導入後の学習により、今まで読めていたものが読めなくなることもあるため、一概にメリットであるとも言い切れないところにも注意です。


2-5 セキュリティ・コンプライアンス対応機能


従来のOCRよりも適用範囲が広いAI-OCRは、セキュリティと法規制への対応を考慮した設計がされています。個人情報や機密文書を扱えるように暗号化通信やアクセス制御などがそれに該当します。


人事部門で扱う履歴書や契約書などは個人情報を含む例です。AI-OCRはこれらをセキュリティ機能により安全に処理できます。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応できるため、コンプライアンス遵守の支援にもなります。


3 AI-OCRの種類と適用シーン


どのAI-OCRか

一口にAI-OCRと言っても実はいろいろな種類があり、用途に応じて適したものは異なります。今回は3種類に分けて説明してみました。


3-1 汎用×定型フォーマット型|請求書や申込書の処理


第一に汎用×定型フォーマット型のAI-OCRがあり、決まった形式の書類を効率的に処理できます。レイアウトが一定の帳票ではAIが学習しやすく、文字認識の精度も高くなります。


例えば毎月同じ書式で届く請求書や申込書を処理する場合、このタイプを導入すればデータ化がほぼ自動で完了し、入力作業が大幅に削減されます。


3-2 汎用×非定型フォーマット型|契約書や見積書の処理


汎用×非定型フォーマット型は、フォーマットが異なる帳票を幅広く処理できる柔軟性があります。文字の認識だけでなく、AIが文書構造を理解して学習するため、文字の位置や配置が変わっても必要な情報を正しく抽出できることが特徴です。


これにより、仕入れ先ごとにレイアウトが異なる見積書や契約書でも、AI-OCRなら「日付」「金額」「取引先名」などの項目を自動で識別し、データベース化できます。多様なフォーマットを扱う企業に最適なAI-OCRです。


3-3 業務特化×非定型フォーマット型|業界ごとの特化型OCR


最後に業務特化×非定型フォーマット型は、特定業界の書類に合わせて最適化されており、高精度で処理できるタイプです。


例えば医療現場では診療記録や検査報告、不動産業界では契約書や登記関連の帳票など、一般的なAI-OCRでは難しい文書を正確にデジタル化できます。


4. AI-OCRとは?導入に失敗しない選び方のポイント


システム導入失敗リスク

様々な種類があるAI-OCRですが、みなさんの業務で有効活用できるのはどういったサービスでしょうか。選定方法について、まとめてみました。


4-1 読み取り精度と実運用での再現性


第一にAI-OCRを選ぶ際は、読み取り精度と運用時の安定性を重視すべきです。実際の運用段階では、スキャンの状態や文字の書き方がばらつきによって精度が大きく異なります。


実務面での修正の必要があると、結果的に効率化になりません。導入前にサンプル帳票を使って試験運用を行い、精度を確認することが重要です。


4-2 操作性・UIの分かりやすさ


逆にどんなに高精度でも操作が複雑だと現場担当者に負担がかかり、利用が定着しません。そのため、使いやすいインターフェースも重要な選定ポイントです。ドラッグ&ドロップで文書を取り込めたり、認識結果を簡単に修正できたりするUIがあれば、専門知識がなくても現場で使えます。


4-3 他システムとの連携可否(RPA・基幹システム) 


機能面での3つ目のポイントは、RPAや基幹システムと連携できるかです。認識したデータをそのままシステムに流し込めれば、人間の介在をさらに減らすことができます。


例えば会計システムや販売管理システムに直接データを送信できるAI-OCRを選ぶと、入力から処理まで完全自動化できます。


4-4 サポート体制・セキュリティ対応の有無


そして意外と忘れがちですが、サポート体制とセキュリティ対応が整っている製品を選ぶことが不可欠です。導入後にトラブルが起きたときに対応できなければ業務が止まり、また個人情報や機密文書を扱うため強固なセキュリティは欠かすことができません。


導入前にベンダーに問い合わせ、暗号化やアクセス制御の仕組み、さらにトラブル時のサポート窓口の体制を確認しておくとよいでしょう。


5. AI-OCRの活用事例|成功企業から学ぶ導入効果


AI-OCRで成長する企業

様々な面で業務を効率化するAI-OCRの機能や活用例について今までご説明してきました。この章では具体的な事例を見てみましょう。


5-1 行政機関|暮らしを支える帳票処理の効率化


行政機関では、AI-OCRとRPAを組み合わせることで膨大な紙帳票処理を効果的に自動化できます。特に住民票や税関連の申請書は件数が非常に多く、手作業では多くの時間を使い、ミスのリスクも高くなります。


ある自治体では、住民税の申請書をAI-OCRで読み取り、RPAが自動で入力する機能を導入しました。その結果、年間180,000件の処理時間が592時間から398時間に削減されました。



5-2 金融・保険業界|契約書類の処理速度を向上


金融や保険分野では、AI-OCRを導入することで手書き書類の入力効率を大幅に高

られます。顧客申込書や治療状況報告書など、書類処理が遅いと顧客対応に影響する

ためです。


某保険会社では、請求書類の入力工程にAI-OCRを導入し、事務処理の効

率化と精度向上を実現。結果として、入力業務を約40%削減しました。



5-3 製造・物流業界|多様な帳票処理を高速化


製造・物流業界において、AI-OCRは非定型の帳票でも高効率な処理が可能です。これらの業界ではFAX注文書や納品書など、フォーマットが異なる書類が多く、人の手での入力では効率が上がりにくい部分をカバーできます。

 

ある卸売業では、営業現場から送られてくる受注伝票をAI-OCRで自動テキスト化し、業務時間を「80時間/月」から「20時間/月」に削減しました。



5-4 不動産業界|契約関連の書類処理をスムーズに


不動産業界では、AI-OCR導入により契約書や申請書類の処理速度が向上します。

契約手続き全体に影響を及ぼす契約内容の入力ミスや遅延を解消できることがその根

拠です。


導入前は人が介在していた書類処理をAI-OCRで省力化し、作業時間を半分以下に

抑えられたケースがあります。



5-5 医療・教育分野|紙書類の管理と活用を革新


医療や教育分野でもAI-OCRが診療録や学籍情報のデジタル管理を強力に支援しま

す。医療や教育分野では紙の利用が情報検索や共有を難しくし、業務効率が低下させているからです。


AI-OCRとRPAを組み合わせることで、電子カルテへのデータ入力を自動化し、

年間1,800時間の作業削減が実現された事例があります。



6. AI-OCRの課題と注意点


AI-OCRのトラブル


従来のOCRの弱点であるフォーマットの違いや手書き文字に対応できるAI-OCRですが、なんでもできるわけではありません。AI-OCRの課題を挙げてみましょう。


6-1 100%の認識精度は不可能|人によるチェックは必要


AI-OCRとはいえ、100%の精度で文字を認識することはできません。事実、帳票のスキャン状態や文字の書き方によっては、誤認識が発生します。


例えば薄いインクで書かれた手書き文字や、かすれた印字の請求書では誤りが生じやすく、最終的な確認は人間の目で行う必要があります。そのため、チェック体制を整えることで安定した業務効率化を目指すことが大切です。


6-2 導入コストとROI(投資対効果)の考え方


AI-OCR導入には初期コストがかかるため、投資対効果を見極めることも大切です。

ライセンス費用や運用体制の構築にコストがかかり、業務効率化で得られる削減効果がそれを上回るものであるかを確認することは必須といえる

でしょう。


仮に1日100件の請求書処理をAI-OCRに置き換える場合、年間数百時間の削減効果が見込めます。これを人件費換算するとROIを具体的に算出でき、導入判断の根拠になります。


6-3 帳票の品質やスキャン環境による精度差


AI-OCRの認識精度は帳票の品質やスキャン環境によって左右されます。スキャンデータの解像度が低い場合、影や折れ目のある紙を読み取ると誤認識が発生することは多々あります。


契約書をコピーしてからスキャンした場合、文字が薄くなって誤認識が発生することがあります。例えば、解像度を300dpi以上に設定するなど、スキャン環境を整えることで精度を安定させられます。


6-4 データセキュリティとプライバシー対応


AI-OCR導入にセキュリティ対策は必要とお話しましたが、運用面でもセキュリティとプライバシー対策が不可欠です。個人情報や機密文書を扱うため、漏洩や不正アクセスが発生すれば重大なリスクとなるからです。


クラウド型AI-OCRを利用する場合、通信の暗号化やアクセス権限の設定を徹底する必要があります。また、保存期間や利用範囲を明確に定めることで、コンプライアンスにも対応できます。安全性を担保した運用ルールを整えることで、AI-OCRを安心して業務に活用していきましょう。


7. AI-OCR導入を検討する読者のQ&A


Q&A

 いままでAI-OCRの特徴や事例を、導入時の課題などを説明してきました。これからAI-OCRを導入しようとしている皆様のよくある質問をQ&Aにしてみました。



7-1 Q.AI-OCR導入にはどれくらいのコストがかかる?


A.    AI-OCRの導入コストは製品や利用規模によって大きく異なります。クラウド型かオンプレミス型か、処理件数や利用ユーザー数によって課金体系が変わります。


クラウド型では月額数万円から利用できるものがあり、初期費用を抑えて導入できます。一方、大規模に使う場合は年間数百万円規模の費用がかかるケースもあり、必要に応じてトライアルで確認することも大切です。


7-2 Q. どんな業務や業種でAI-OCRが効果を発揮する?


A.  AI-OCRは帳票や文書が多い業種で特に効果を発揮します。入力作業や確認作業が繰り返し発生する業務は、AI-OCRによる効率化の恩恵を強く受けるからです。 


経理部門での請求書処理、物流業界での納品書入力、医療現場での診療録データ化など、幅広い業種で導入が進んでいます。自分たちの業務で本当にAI-OCRが有効なのか、実際の業務に当てはめて考えてみてください。


7-3 Q. 紙と電子文書が混在している場合でも使える?


A.    紙と電子文書が混在していてもAI-OCRは利用できます。AI-OCRはスキャンした紙書類だけでなく、PDFや画像データからも文字を抽出できるからです。


紙で届く請求書はスキャンして処理し、メールで受け取るPDF請求書は直接AI-OCRに読み込ませれば、両方を同じワークフローで処理できます。紙と電子の一元管理もAI-OCRが実現をサポートします。


7-4  Q.無料で試せるAI-OCRはある?


A.多くのベンダーが無料トライアルを提供しております。対象の書類によって適したAI-OCRは異なるため、導入前に精度を確認することは必須です。実際の運用における操作性を確認するというメリットもあり、期間限定で試験利用できるサービスは数多くあります。


FROG AI-OCRでは、公式サイトから無料トライアルを申し込むことができ、請求書や契約書などを実際に読み込ませて精度を体感できます。

 


8. AI-OCRにおけるLLMの活用


LLM

 AIの分野で急速に広がっているLLM(大規模言語モデル)はAI-OCRの領域でも活用が検討されています。LLMはAI-OCRにどのように関わってくるのでしょうか。


8-1 LLMとは?AI-OCRとの関係性


LLM(大規模言語モデル)は、文字データをより深く理解・活用するための技術としても活用できます。AI-OCRが担うのは「文字を正しく認識すること」ですが、その後の意味理解や自動処理はLLMが得意としており、お互いを補うことができる関係です。


例えばAI-OCRで契約書をデータ化し、LLMが条文の意味を要約すれば、専門知識がなくても内容を把握できます。


8-2 AI-OCR×LLMで可能になる高度な文書理解


AI-OCRとLLMを連携させると、文書の解釈や自動分類が可能になります。AI-OCRで書類から文字列を認識し、それをさらに文脈や意図を踏まえて解釈や自動分類につなげることができるのです。


例えばAI-OCRで読み取った見積書をLLMが分析し、金額や条件に基づいて「承認必要」「再確認必要」と自動分類するなどが考えられる活用例です。


8-3 要約・分類・意図抽出などの自動化事例


LLMを活用することで、文書の要約や分類、意図の抽出を自動化できます。大量の文書から必要な情報を探す作業は人にとって負担が大きく、AIが代替することが大きな省力化につながります。


AI-OCRでデータ化した議事録をLLMが要約し、重要な決定事項だけを抽出することで、会議後の情報共有が簡単になります。契約関連のメールを自動分類して「請求関連」「納期調整」などに仕分けすることも可能です。


8-4 今後の展望|AI-OCRと生成AIのシナジー


今後のAI-OCRと生成AIを組み合わせたソリューションが主流になっていくと予想されます。AI-OCRが業務効率化に利するものである以上、生成AIを用いて認識・理解・生成を行い、より高度な業務自動化が求められるようになるでしょう。


例としてAI-OCRで読み取った契約書をLLMが解釈し、承認フローに沿った通知文を自動生成する仕組みが実現しつつあります。これにより、単純作業から高度な意思決定支援まで一気通貫でカバーできます。


8-5 FROG AI-OCR フリートライアルのご紹介


AI-OCR導入を検討しているなら、フリートライアルを利用して精度や利便性を確認することをおすすめします。実際の帳票を使って試せば、自社に合うかどうかを確かめられるからです。


FROG AI-OCRは国立国会図書館とモルフォAIソリューションズが共同開発したNDL-OCRを改良した高精度のAI-OCRです。公式サイトから無料トライアルを申し込むことができ、請求書や契約書などを実際に読み込ませて精度を体感できます。

 


9. まとめ|AI-OCRとは業務効率化の第一歩


AI-OCRとは、従来OCRをAIで進化させた技術であり、紙やPDFに記載された文字を高精度にデータ化し、業務効率化を実現するための第一歩です。AIが文字や帳票の特徴を学習するため、定型フォーマットだけでなく、非定型の契約書や手書き文字にも対応でき、RPAや基幹システムと連携することで業務全体を自動化できることが特徴です。


AI-OCRは、単に紙をデジタル化するツールではなく、DX推進や働き方改革、法制度対応を支える基盤です。無料トライアルを活用して自社の業務に適しているかを確かめ、将来的にはLLMや生成AIとのシナジーも視野に入れて導入を検討することで、より大きな成果を得られるでしょう。


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